
「公認心理師を目指したいけれど、自分に向いているのだろうか?」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
公認心理師は、日本で初めて国家資格として認められた心理職です。
医療・福祉・教育・司法・産業など、さまざまな現場で、心の健康をサポートする役割を担っています。
しかし、心理支援の現場では専門知識だけでなく、適切な態度や姿勢が求められます。
今回は、公認心理師に向いている人の特徴を、心理職に必要な7つの力の観点から解説していきます。
ぜひ、あなた自身の強みや特性と照らし合わせて参考にしてみてください。
公認心理師に向いている人7選
ここでは、心理支援職として求められる資質を、次の7つの視点で整理しました。

これらは、公認心理師法や心理学的な理論、現場での実践経験を踏まえて導き出した、心理支援の根本となる資質です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 人の話をじっくり聴ける人

公認心理師として最も基本的な力のひとつが「傾聴力」です。
来談者中心療法で知られるカール・ロジャーズは、「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」をカウンセリングの三原則として示しました。
相談者の話を否定せず、評価せず、受け入れる姿勢が不可欠です。
公認心理師法第2条でも、「相談に応じ、助言、指導その他の心理的支援を行う」と明記されており、まずは相手の話をじっくりと聴く姿勢が大前提となります。
② 相手の立場で考えられる人

「共感力」も、公認心理師に求められる重要な資質です。
相談者の背景や状況に寄り添い、気持ちを理解しようとする姿勢が求められます。
例えば、医療現場では患者さん本人だけでなく、ご家族や関係者の心情に配慮することも必要です。
価値観や考え方が自分と違うからといって否定せず、相手の世界観を尊重することが大切です。
③ コツコツ学び続けられる人

公認心理師は、資格取得後も継続的な学びが求められる職業です。
法律や制度の改正、新しい研究成果や心理療法の技法など、日々進化する知識をキャッチアップする必要があります。
公認心理師法第42条では、資質向上の責務が定められており、実務を続けながら学び続ける姿勢が求められます。
心理支援は「これで完璧」というゴールがなく、探究心や向上心が欠かせません。
④ 感情のコントロールができる人

心理支援の現場では、悲しみや怒り、恐怖といった強い感情に触れることもあります。
その際、支援者自身が感情に巻き込まれてしまうと、適切な支援が難しくなります。
バーンアウト(燃え尽き症候群)や二次受傷を防ぐためにも、セルフケアや感情のセルフマネジメントが大切です。
自分の限界を知り、必要に応じて相談できる力も公認心理師には求められます。
⑤ 人と協力して働ける人

公認心理師は、他の専門職と連携して支援にあたることが多くあります。
医師や看護師、福祉職、教員、保健師など、多職種チームの一員として動く場面も多いのが特徴です。
公認心理師法第2条にも、関係者と連携する旨が明記されており、円滑なコミュニケーション能力や協調性が必要です。
「報・連・相(報告・連絡・相談)」を徹底し、チームの力を最大限に活かせる姿勢が重要です。
⑥ 秘密を守れる人

心理支援職は、相談者のプライバシーや秘密を厳守する倫理観が求められます。
公認心理師法第41条でも守秘義務が定められており、違反すると罰則が科される場合もあります。
安心して相談してもらうためには、秘密を守ることが大前提です。
「誰にも言わないで」と言われた内容を、軽々しく第三者に話すことは絶対にあってはなりません。
⑦ 誰かの役に立ちたい気持ちが強い人

心理支援の現場では、結果がすぐに出ないことも多くあります。
そんな中でも支えとなるのは、「誰かの役に立ちたい」という純粋な気持ちです。
公認心理師法第1条の目的にも、「国民の心の健康の保持増進に寄与する」ことが掲げられており、支援の原動力はこの思いにあります。
相談者の変化や回復に寄り添うことで、大きなやりがいを感じられる仕事です。
向いていない人の特徴とは?

一方で、少し注意が必要なタイプもあります。
ただし、これらは意識や経験で改善可能なものです。
支援者としての姿勢は、実践の中で育てていくことができます。
向いていなくても大丈夫な理由

「自分は向いていないかも…」と感じても、心配はいりません。
心理支援の現場で経験を積み、仲間や先輩に支えられながら成長していけるのがこの仕事の魅力です。
大切なのは、向き・不向きよりも「やってみたい」という気持ち。
その想いが、支援者としての第一歩を支えてくれます。
まとめ

今回は、公認心理師に向いている人の特徴を7つにまとめてご紹介しました。
心理支援職にはさまざまな現場があり、多様な人材が求められています。
あなたの強みを活かせるフィールドはきっと見つかるはずです。
ぜひ、自分の特性を振り返りながら、公認心理師への道を進んでみてください。
【参考・出典】
- 公認心理師法(2015年法律第68号)
- 厚生労働省「公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ」
- Carl Rogers『カウンセリングと心理療法』
- 日本心理臨床学会『心理臨床の専門性と倫理』
- 公認心理師現任者講習会テキスト
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