はじめに
「心理学人物シリーズ」では、心理学に登場する重要人物について解説します。
今回は、エリクソン!
エリクソンは「心理社会的発達理論」で有名で、人間の一生を8段階で捉えた発達課題が試験でもよく出題されます。
覚えておきたいキーワードや著書とあわせて、エリクソンの考え方を確認していきましょう。
エリクソン(Erik H. Erikson)とは
エリク・エリクソン(1902年〜1994年)は、アメリカの精神分析家・発達心理学者で、フロイトの精神分析理論を発展させ、人間の一生を通じた発達に注目しました。
フロイトが主に幼少期の心理発達に焦点を当てたのに対し、エリクソンは青年期や成人期、老年期までの「生涯発達(Lifespan Development)」を重視した点が特徴です。
心理社会的発達理論(Psychosocial Development Theory)
エリクソンは、人は一生を通じて8つの発達段階を経験し、それぞれの段階で「心理社会的危機(Psychosocial Crisis)」を乗り越えることで成長すると考えました。
エリクソンの8つの発達段階
段階 | 年齢 | 発達課題 | 成功時 | 失敗時 |
---|---|---|---|---|
第1段階 | 乳児期(0〜1歳半) | 基本的信頼 vs 不信 | 希望 | 恐れ・不信感 |
第2段階 | 幼児期前期(1歳半〜3歳) | 自律性 vs 恥・疑惑 | 意志 | 恥・疑い |
第3段階 | 幼児期後期(3〜6歳) | 自発性 vs 罪悪感 | 目的 | 罪悪感 |
第4段階 | 学童期(6〜12歳) | 勤勉性 vs 劣等感 | 能力 | 劣等感 |
第5段階 | 青年期(12〜18歳) | 同一性 vs 同一性拡散 | 忠誠 | アイデンティティの混乱 |
第6段階 | 成人期前期(18〜40歳) | 親密性 vs 孤立 | 愛 | 孤独感 |
第7段階 | 成人期後期(40〜65歳) | 生産性 vs 停滞 | 世話 | 無関心 |
第8段階 | 老年期(65歳以降) | 統合性 vs 絶望 | 英知 | 絶望感 |
ポイント
- 各段階には必ず乗り越えるべき課題があり、うまく解決できると心理的強みが育まれる。
- どこかの段階でつまずいても、その後の人生で乗り越えるチャンスがある。
- 発達は「一生続く」プロセスであるという考え方が、試験でも重要。
エリクソンが重視した概念
同一性(Identity)
青年期に重要となる概念で、「自分は何者か」「どんな人生を送るのか」といった自己の確立を指します。
この時期にアイデンティティの確立がうまくいかないと、将来の人間関係や社会的役割で混乱が生じやすくなります。
心理社会的危機(Psychosocial Crisis)
各発達段階で向き合う葛藤や課題のこと。成功・失敗のどちらに進むかによって、その後の発達が影響を受けます。
生涯発達(Lifespan Development)
幼少期だけでなく、大人になってからも心理的成長は続くという考え方です。
エリクソンの覚えておきたい著書
試験対策で押さえておきたい著書はこちらです。
- 『幼児期と社会(Childhood and Society)』(1950年)
→ 心理社会的発達理論の基本が示された代表作。 - 『アイデンティティ 青年と危機(Identity: Youth and Crisis)』(1968年)
→ 青年期の同一性の確立について詳しく書かれている。 - 『人生の8つの段階(The Life Cycle Completed)』(1982年)
→ 発達段階の理論を総まとめした晩年の著書。
おわりに
エリクソンの理論は、試験の頻出テーマであり、実際の支援現場でも役立つ考え方です。
ライフサイクル全体を見渡しながら、クライエントが今どの課題に向き合っているかを理解することは、適切な支援につながります。
表やキーワードで整理して、試験対策に活用していきましょう。
まとめ
エリク・エリクソンの理論は次のポイントが重要です。
キーワード
- エリク・エリクソン(Erik H. Erikson)
- 心理社会的発達理論(Psychosocial Development Theory)
- 発達課題(Developmental Tasks)
- 心理社会的危機(Psychosocial Crisis)
- 同一性(Identity)
- 生涯発達(Lifespan Development)
- アイデンティティ拡散(Identity Diffusion)
- 『幼児期と社会』
- 『アイデンティティ 青年と危機』
- 『人生の8つの段階』
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