はじめに
「心理学人物シリーズ」では、心理学に登場する重要人物について解説します。
今回は、マズロー！
「自己実現」や「欲求階層説」など、心理学だけでなく日常生活でも耳にする言葉を生み出したマズロー。
覚えておきたいキーワードや著書とあわせて、マズローの考え方を確認していきましょう。
マズロー（Abraham Maslow）とは
アブラハム・マズロー（1908年〜1970年）は、アメリカの心理学者であり、「人間性心理学（Humanistic Psychology）」の創始者の一人です。
フロイトや行動主義者たちの「病理」や「刺激と反応」中心の心理学に対して、「人間の成長」や「幸福」を重視したポジティブな心理学を提唱しました。
特に有名なのが「欲求階層説」と「自己実現」の理論です。
マズローの欲求階層説（Hierarchy of Needs）
マズローは、人間の欲求が5段階のピラミッド状に階層化されていると考えました。
下位の欲求が満たされることで、次の段階に進むことができるという考え方です。
欲求階層説の5段階
① 生理的欲求（Physiological Needs）
生きるために必要な基本的な欲求（食事、睡眠、呼吸など）。
② 安全の欲求（Safety Needs）
身の安全や経済的安定を求める欲求（住まい、仕事、健康など）。
③ 所属と愛の欲求（Love and Belongingness Needs）
家族や友人、集団への所属、愛情を求める欲求。
④ 承認の欲求（Esteem Needs）
他者から認められたい、自分に自信を持ちたいという欲求。
⑤ 自己実現の欲求（Self-Actualization Needs）
自分の能力や可能性を最大限に発揮し、理想の自己を目指す欲求。
欲求は段階的に進む
基本的には、下位の欲求が満たされていないと、上位の欲求を追求するのが難しくなります。
しかし、実際の人生では必ずしも順番どおりではなく、上下を行き来することもあります。
自己実現とは
マズローが最も重視したのが「自己実現（Self-Actualization）」です。
自己実現とは、自分の潜在的な能力や才能を最大限に引き出し、充実した人生を送ること。
マズローは自己実現した人の特徴を次のように挙げています。
これは、心理学用語で「自己実現者（Self-Actualizers）」と呼ばれます。
マズローの覚えておきたい著書
公認心理師試験で役立つ、マズローの主な著書はこちらです。
- 『人間の動機づけ理論（A Theory of Human Motivation）』（1943年）
→ 欲求階層説を初めて示した論文。 - 『完全なる人間（Toward a Psychology of Being）』（1962年）
→ 自己実現や人間性心理学について詳しく解説。 - 『動機と人格（Motivation and Personality）』（1954年）
→ 欲求や自己実現について体系的にまとめた著書。
試験対策としては、欲求階層説の出典である『人間の動機づけ理論』と、自己実現に関する『完全なる人間』を押さえておきましょう。
おわりに
マズローの理論は、試験だけでなく、日常生活や自己成長にも活かせる考え方です。
人は何を求め、どのように成長していくのかを理解することは、支援者として非常に大切な視点です。
欲求階層と自己実現をしっかり押さえて、試験対策に役立てましょう。
まとめ
アブラハム・マズローの理論は次のポイントが重要です。
キーワード
- アブラハム・マズロー（Abraham Maslow）
- 人間性心理学（Humanistic Psychology）
- 欲求階層説（Hierarchy of Needs）
- 生理的欲求（Physiological Needs）
- 安全の欲求（Safety Needs）
- 所属と愛の欲求（Love and Belongingness Needs）
- 承認の欲求（Esteem Needs）
- 自己実現の欲求（Self-Actualization Needs）
- 自己実現（Self-Actualization）
- 自己実現者（Self-Actualizers）
- 『人間の動機づけ理論』
- 『完全なる人間』
- 『動機と人格』
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