はじめに
「心理学人物シリーズ」では、心理学に登場する重要人物について解説します。
今回は、ワトソン!
ワトソンは「行動主義心理学」の創始者として有名で、「環境が人の行動に与える影響」を重視した研究を行いました。
覚えておきたいキーワードや著書とあわせて、ワトソンの考え方を確認していきましょう。
ワトソン(John B. Watson)とは
ジョン・B・ワトソン(1878年〜1958年)は、アメリカの心理学者で、「行動主義心理学(Behaviorism)」の創始者として知られています。
ワトソンは「人間の行動はすべて観察可能な刺激と反応の関係によって説明できる」と提唱し、内面的な意識や感情よりも、行動そのものの観察と分析に焦点を当てました。
行動主義心理学とは
行動主義心理学は、次の3つの特徴を持つ理論です。
1. 観察可能な行動に焦点を当てる
ワトソンは、科学としての心理学は「目に見える行動」だけを対象にすべきと考えました。
人間の意識や内面は客観的に測定できないため、研究の対象から除外しました。
2. 刺激と反応(Stimulus-Response)の関係
ワトソンは「すべての行動は、環境からの刺激に対する反応である」と提唱しました。
これにより、行動の原因を特定し、予測することが可能になると考えました。
3. 条件付け(Conditioning)の概念
ワトソンは、パブロフの「古典的条件付け」を基に、人間の情動反応も条件付けによって学習されると主張しました。
代表的な実験として「アルバート坊やの実験」が有名です。
アルバート坊やの実験
ワトソンは「アルバート坊やの実験」で、恐怖反応が条件付けによって形成されることを示しました。
実験の概要
- 生後11か月のアルバート坊やに白いネズミを見せる
- 最初は恐れの反応がなかったが、ネズミを見せると同時に大きな音を鳴らすことで、ネズミに対する恐怖が条件付けされた
- その結果、アルバート坊やは白い動物や毛皮のコートなど、似た刺激に対しても恐怖反応を示すようになった
この実験は「恐怖の条件付け」として、行動主義心理学の基盤を築きました。
ワトソンの覚えておきたい著書
公認心理師試験対策で押さえておきたい著書はこちらです。
- 『行動主義(Behaviorism)』(1924年)
→ ワトソンの行動主義の理論が詳しく解説された代表作。 - 『心理学を子育てに応用する方法(Psychological Care of Infant and Child)』(1928年)
→ 行動主義の観点から子育てに関する実践的なアドバイスをまとめた著書。
おわりに
ワトソンの「行動主義心理学」は、心理学をより客観的な科学として発展させるきっかけとなりました。
「刺激と反応」「条件付け」といった重要な概念は、公認心理師試験でもよく問われるので、しっかり押さえておきましょう。
まとめ
ジョン・B・ワトソンの理論は次のポイントが重要です。
キーワード
- ジョン・B・ワトソン(John B. Watson)
- 行動主義心理学(Behaviorism)
- 刺激と反応(Stimulus-Response)
- 条件付け(Conditioning)
- アルバート坊やの実験(Little Albert Experiment)
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